ちくま日本文学 内田百閒

100107-01.jpg

線路が暗い土手と一緒に大きく曲がった様だと思うと、反対の側の窓の遠くの果てに、きらきらと列になって光る小さな灯火が目に入った。土手の側にはまだいくらか明かりが残っているが、灯火の見える辺り一帯は已に真暗である。小さな汽車が暗闇の中に散らかったその明かりの方へ走っているのが、はっきりわかった。(サラサーテの盤)(本文より抜粋)

2010年01月07日