暮しの手帖 35 夏 2008

このシャツは私のワードローブのなかに、驚きの一点、思いがけない要素のように出現したのでありながら、しかし、なくてはならないもの、あって当たり前のものになっている。
驚きを創り出しつつ、それがあって当然であることを明るみに出す事が、アートの定義なのかもしれない。
(服とわたしの物語 エレンフライス)(本文より抜粋)
Permalink 2010年01月28日
ちくま日本文学 内田百閒

線路が暗い土手と一緒に大きく曲がった様だと思うと、反対の側の窓の遠くの果てに、きらきらと列になって光る小さな灯火が目に入った。土手の側にはまだいくらか明かりが残っているが、灯火の見える辺り一帯は已に真暗である。小さな汽車が暗闇の中に散らかったその明かりの方へ走っているのが、はっきりわかった。(サラサーテの盤)(本文より抜粋)
Permalink 2010年01月07日
千年の愉楽 中上 健次

女が運んできた酒をさかずきに受けて、男が黙り込み体の毛穴からいままでぎらぎらと光を放ち空中ににおい出すようにあった半蔵に対する敵意が抜け落ちていくのがはっきりとわかり、内に潜るような光りの鈍い男の眼にみつめられながら、半蔵は自分のかさの分だけ光りが濃く輝いてくるのを知った。(本文より抜粋)
Permalink 2009年07月12日
真夜中 2009 Early Summer

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Permalink 2009年07月03日
肉体の迷宮 谷川渥

この弁証法的転換を、谷崎は『闇の理法』と呼ぶ。『陰翳礼賛』は、いうなれば『闇の理法』の書である。それは負を正とするところの屈折した美意識の産物にほかならない。
黒い髪も鉄漿(おはぐろ)も眉毛を剃り落とすことも、あるいは玉虫色に光る青い口紅をつけることも、女の『白い顔』を生み出すための『闇の理法』である。(本文より抜粋)
Permalink 2009年05月15日
ブエノスアイレス午前零時 藤沢周

また、嗅いだことのない香水のにおいがして、頭の芯が小さく揺れるのをカザマは感じた。ストーブの感震装置についている鉄の塊が頭の中に見えていたかと思うと、ミツコが『怖いわ、、、、、』と呟く。(本文より抜粋)
Permalink 2009年05月01日
夕子ちゃんの近道 長嶋有

電車はすいていて、夕子ちゃんと並んで腰をおろした。座ると、夕子ちゃんの膝はすりむけていて、四角い絆創膏の貼ってあるのがみえた。痛そうだし、寒そうでもある。
『こんな時間まで学校あるんだ』夕子ちゃんは歯をみせて、うなずいた。(本文より抜粋)
Permalink 2009年04月27日
装苑 May 2009

Permalink 2009年04月04日
A Year of Mornings 3191 Miles Apart

a photographic collaboration by
MARIA ALEXANDRA VETTESE and STEPHANIE CONGDON BARNS
Permalink 2009年03月29日
smile 永井宏

しかし、忘れたくないのは、いつの時代も<永遠>を求めているかのような作業が繰り返され、形にしようとする努力がなされてきたということだ。そしてそれは誰しもが一度は抱いたに違いない、脳裏の片隅に残り続けるひとつのイメージの塊であり、これから先も生きていくために必要な残像でもあるような気がする。(本文より抜粋)
Permalink 2009年03月17日
『アンアン』1970

『二号目はどうするんでしょう。もう締め切りなのでみんな心配しているのですが、、、、』
『今はアンアンの創刊号が出るか、出ないかの正念場なんです。次号のことを考えるヒマはない。そんなに心配ならキミが勝手にやってくれ!』
Permalink 2009年03月01日
ブランコ ウィスット ポンニミット

『強がってるけど、本当は寂しいんじゃないの?』(本文より抜粋)
Permalink 2009年02月24日
Sydney! 村上春樹

ホテルに戻る前に、向かいの名前のないパブに寄る。そしてVB(ビクトリアビター)の生を飲む。店いっぱいの酔客と一緒に、テレビで開会式の終りの方を見る。人々はテレビの前に集まって盛り上がっている。会場で十万円のシートに座って見ているよりは、ここでみんなと一緒にテレビを見ている方が活気があって楽しい。(本文より抜粋)
Permalink 2009年02月15日
仏教が好き! 河合隼雄×中沢新一

河合—大日如来は『華厳経』のなかでは一言も言わないんです。
中沢—ただ座っているだけです。
河合—いつ頃何を言うかとおもったら、煙を出すんです。口からぷわーっと(笑)。あれは煙草を吸っているんじゃないかなと思う。
中沢—とりたてて、どうこうせいと言いません。ぷわーっとやるのを受けて、まわりの連中が気を利かせて、大日如来の考えというのを代わりに言うだけですものね。(本文より抜粋)
Permalink 2009年02月08日
VANストーリーズ ー石津謙介とアイビーの時代 宇田川悟

『皆さん!弊衣破帽です。内容のない奴に限ってカッコいいのを着る。表を飾るのは中身のない証拠です。アイビールックというのは、高い金を出して流行を追うのではなく、古いものを大事に永く着ようということです。ただ古いだけでなく、古くから伝わった文化の形を洋服に置き換えてアイビーというのです。
だから、いつまでも着てほしい。破けたら布を当てて使えばいい。そういう事に価値観を持たせるのです。皆さん、今までに誇りを持って着られる服がありましたか!』(本文より抜粋)
Permalink 2009年02月07日
テニスボーイの憂鬱 村上龍

吉野愛子は緊張ぎみにスカートの裾を何度も直しながら車から降りた。車が450SLCで良かったなぁ、胸の動悸を抑えながらテニスボーイは思った。サニーのライトバンなんかで来たらあのボーイの奴らバカにするだろうなぁ。(本文より抜粋)
Permalink 2009年02月02日
恋 小池真理子

信太郎の後ろに立っていた私は、彼の耳の脇に、乾きかけた血玉が赤黒く凝固しているのを見つけた。ガラス片か何かで切ったらしかった。
ふいに悲しみがこみあげてきた。私は信太郎の腰に後ろからすがりつき、彼の背中に顔を押しつけて嗚咽をこらえた。(本文より抜粋)
Permalink 2009年01月29日
Purple summer 98


Morning Beauty
Photography by Mark Borthwick
Clothes Susan Cianciolo(本文より抜粋)
Permalink 2009年01月26日
黄色い本 ジャック チボーという名の友人 高野文子

実ッコちゃん 電気つけると暗いねえ
ええ? 明れよう 電気は
電気つけると夜んなったねぇ
ああ 夜んなったねぇ 外は(本文より抜粋)
Permalink 2009年01月24日
葬儀の日 松浦理英子

ぎょっとしたのは幼女が車のガラス窓を開け始めたことだ。ガラスを通さない対面。かつてはガラスに映った像であった幼女が、決定的な力を主張しようとしている。見えないうちはよかった。見えない方がよかった。見えれば私たちは認めねばならない。(本文より抜粋)
Permalink 2009年01月21日
ポーの話 いしいしんじ

『ポー!』
うなぎ女のひとりが金切り声をあげる。中州にちらばった全員がいっせいにふりかえった。
『ああ、ポーや!』
『ポー!ポー!ポー!』(本文より抜粋)
Permalink 2009年01月14日
グロテスク 桐野夏生

熱に浮かされたようにまだぶつぶつと繰り言を垂れ流す和恵の体から、つんと酸っぱい汗の匂いが漂ってきました。その強い酸味が、和恵のユリコに対する関心の強さを物語っている気がして、わたしは思わず顔を背けました。ユリコという怪物を見た和恵の世界は、少しずつ変容するに違いありません。(本文より抜粋)
Permalink 2009年01月10日
枯木灘 中上健次

繁った木の梢は秋幸の短い髪に触れ、秋幸は自分の頭を撫ぜる女の手を思い出し、突然体が鳥肌立つのを感じた。手は髪を撫ぜたのだった。脚は脚にからまり、胸はいまひとつの胸に重なりあったのだった。血管を腫れあがらせる血を自分の体から絞り出したい、と秋幸は思った。(本文より抜粋)
Permalink 2009年01月09日
真鶴 川上弘美

階段の中途にあった横道へもどり、たどった。狭い道すじの、両がわに家が建っている。どの門もとざされている。みかんの木に、小粒のみかんが、たわわに実っている。鳥がきて、つつく。鳥の声ばかりが、かまびすしい。(本文より抜粋)
Permalink 2009年01月07日
国境の南、太陽の西 村上春樹

鮮明な記憶は眠れない夜を作り出した。夜中の二時や三時という時間に目を覚まして、そのまま眠れなくなることがあった。そんなときには僕はベットを出て台所に行き、グラスにウイスキーを注いで飲んだ。窓の外には暗い墓地と、その下の道路を走り過ぎていく車のヘッドライトが見えた。グラスを手に僕はそんな風景をずっと眺めていた。真夜中と夜明けを結ぶそれらの時間は、暗く長かった。(本文より抜粋)
Permalink 2009年01月04日
本の紹介
このHPでは入荷した商品を順番に掲載しています。
こちらは小さいお店で、ほとんどの商品が1点ずつの入荷ということもあり、日が経つごとにショップの内容が変化していきます。
そこで、入れ替わった後でも、そのシーズン全体を通しての内容を知る為に写真を撮り、更新しているのです。業務日誌と個人的なアルバムの中間といったところでしょうか。
それでも、以前から商品の紹介だけではHPの内容に物足りなさを感じていました。
それならば日記でも、とも思ったのですが、上手く文章を書き、更新を続ける自信が持てません。
そこで、今までに読んだ本の紹介ならば続けられるかもしれないと考えました。
本はファッションと同じくらい大好きで、文学やビジネス書、雑誌に関わらず、本そのものが僕の生活になくてはならないものです。紹介するにあたり、ストーリーや感想ではなく、その本文から、個人的に印象に残っている文章や共感する部分を添えてという事であれば続けられそうだ、と。
Permalink 2009年01月04日

